フィリピン共和国は7,641の島で構成されている。国旗に描かれている3つの星が示す通り、国家を構成する最主要の島・諸島群は3つで、ルソン島、ビサヤ島諸島、ミンダナオ島。ルソン島はフィリピン最大の島であり、首都マニラがある政治・経済の中心。ビサヤ島諸島は、セブ島、ボカライ島、ボホール島など、リゾート地として有名な島々が集まる国の中部エリア。

ビサヤ島諸島は、セブ島、ボカライ島、ボホール島など、リゾート地として有名な島々が集まる

フィリピンは、ルソン島、とりわけメトロマニラへの一極集中が顕著で、GDPの36%がメトロマニラに集中している。ちなみに、日本における東京のGDP割合は20%にすぎない。カジノ産業の集中はさらに顕著だ。2025年通期のフィリピン国内のランドベースカジノ部門全体の収益(GGR)は約1,825億フィリピン・ペソ(約30億4,000万米ドル)、日本円で約4,760億〜4,860億円。その約8割が、メトロマニラに立地するカジノから生み出されている。なおカジノ産業の「収益(GGR)」とはパチンコ産業の「粗利」に相当する。

その理由は、11ある統合型リゾート(※)のうち10がルソン島にあり、特に富裕層客を惹きつける大型の「メガIR」がメトロマニラにあるからだ。日本でもよく知られている、ニューポート・ワールド・リゾート、ソレア・リゾート、シティ・オブ・ドリームズ、オカダ・マニラなどは、いずれもメトロマニラにある。※フィリピンではPAGCORによって統合型リゾート(IR)が定義されていて、その要件は、カジノ(ゲーミング施設)、国際基準のホテル、MICE施設(国際会議場・展示施設)、リテール(高級商業モール)および飲食施設(レストラン街)、その他エンターテインメント・観光施設を含むことのほか、総投資額の下限なども定められている。

NUSTAR Resort and Casino

このようなフィリピンにおいて都市圏別に見た場合、「第二の経済圏」と呼べるのが、セブ島とマクタン島から成るメトロ・セブ(セブ都市圏)だ。マクタン島は小さな島(東京の大田区や世田谷区とほぼ同じ広さ)だが、ここにマクタン・セブ国際空港(通称「セブ空港」)があり、東海岸には高級リゾート、西側には経済特区(ハイテク工場地帯)が形成されている。メトロ・セブにも数軒のカジノがあるが、IRと定義される大型の施設が開業したのはつい近年、2022年5月のことだ。それが、ルソン島以外では唯一の統合型リゾート『NUSTAR Resort and Casino(以下、NUSTAR/ヌースター)』だ。

『NUSTAR/ヌースター』は、セブ島中央部の東海岸にある市の公有地に建設され、2022年5月に開業した。特筆すべきは、このプロジェクトが地方自治体と民間企業(ゴコンウェイ・グループ)による官民パートナーシップ(ジョイント・ベンチャー契約:JVA)に基づいて開発された、国内初のカジノリゾートである点だ。最終的には総投資額300億ペソ(約800億円規模)が投じられる予定で、現在も拡張工事が進行している。

カジノフロアは2,1000平方メール。これは、パチンコホールを例に説明すると、パチンコ・パチスロ機を8,000台~9,000台設置できる広さだ。ゲーミングテーブルは最大250台、ゲーミングマシンは最大1,500台設置可能。現在はテーブル約180台、マシン約1,000台が稼働している。

NUSTARのカジノ

マクタン島とセブ島とは3つの橋で連絡しており、現在、4番目の橋の建設が進行している。マクタン空港から『NUSTAR/ヌースター』までは車で30分~40分の距離。日本からマクタン・セブ国際空港へは、成田、関空、名古屋から直行便が就航しており、フライト時間は約4時間半なので、我々にとって好アクセスと言っていいだろう。

次回、この『NUSTAR/ヌースター』を訪問した感想を紹介する。

文=Tanaka Tsuyoshi