福岡県大任町(おおとうまち)は10月20日、カジノを含む統合型リゾート(IR)を大任町内に誘致する計画について、国への区域整備計画の申請準備を進めるよう求める要望書を福岡県に提出した。大任町は9月30日に住民説明会を開催した後、10月6日にIR誘致計画を正式表明。10月19日には、ギャンブル依存症の当事者支援団体が同町などに向け、計画の検証や慎重な対応を求める要望書を提出した。地方自治体による大規模開発構想を巡り、地域経済への波及効果が期待される一方で、社会的リスクへの対策を求める声が顕在化している。
大任町は観光振興と税収増を目的として「大任町にラスベガスをつくる」との構想を掲げ、初期投資は7,000億円と試算。開業後の雇用は約7000人、来場者は年間1300万人、カジノ収益から県が得られる税収(Gaming Revenueの15%)は450億円を見込むとしている。
ただし、特定複合観光施設区域整備法に基づく誘致には都道府県または政令指定都市の申請が必要となる。そのため町村単独での推進には、広域自治体との合意形成といった、必要な法的手続き上の課題も多い。今後の県や議会の動向が注目される。福岡県の服部誠太郎(はっとり・せいたろう)知事は記者会見で、「ギャンブル依存症のほか、地域の生活環境、子どもへの影響が、近隣の県にまで及ぶ懸念がある」と述べ、慎重な姿勢を示している。
特定複合観光施設(IR)の残り2枠の認定に向けた、区域整備計画の申請期間は2027年5月6日から同年11月5日まで。政府は今年3月にこの期間を定める政令を閣議決定しており、大阪に続く残り2つの認定地域を目指す自治体と事業者による公募・準備が進められている。
text by Tanaka Tsuyoshi/文=田中 剛